IT業界の中でも、特に高い成長が期待されているのが、サイバーセキュリティ業界です。
サイバー攻撃が増加する中、企業のセキュリティ対策は欠かせないものとなっており、専門人材への需要も拡大しています。
この記事では、サイバーセキュリティ業界の市場規模や将来性、仕事内容、求められる人物像について、わかりやすく解説します。就職活動中のみなさんは、ぜひ業界研究に役立ててください。
目次
サイバーセキュリティ業界の市場規模
サイバーセキュリティとは、不正アクセスやマルウェア感染、データの改ざん・窃取などのサイバー攻撃から、企業のデジタル資産や個人情報を守るための取り組みを指します。
近年はDXの進展に伴い、企業の業務やサービスのデジタル化・クラウド化が急速に進んでいます。それに伴い、守るべきデータやシステムも増加しており、サイバーセキュリティの重要性はますます高まっています。
総務省によると、世界のサイバーセキュリティ市場規模は、年率10~15%程度の拡大が続いており、2024年には867億ドル(前年同期比9.7%増)に達しました(*1)。
国内市場も同様に拡大傾向にあります。2023年の情報セキュリティ市場規模は1兆6,665億円(前年比13.8%増)を記録しており、2025年は1兆9,458億円と推定されています(*2)。
このように、サイバーセキュリティは今後も継続的な成長が期待される市場の一つであり、IT業界の中でも特に将来性の高い分野として注目されています。
*1 総務省|情報通信に関する現状と動向
*2 特定非営利活動法人 日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)|「2024年度 国内情報セキュリティ市場調査報告書」
「情報セキュリティ」と「サイバーセキュリティ」の違い
「情報セキュリティ」と「サイバーセキュリティ」は混同されやすい言葉ですが、対象や対策の範囲に違いがあります。
| 情報セキュリティ | サイバーセキュリティ | |
| 対象 | アナログ・デジタルを問わない、すべての情報資産 | インターネットやデジタル空間の情報・システム |
| 主な脅威 | 情報漏えい、紛失、災害、盗難、ルール違反 | 不正アクセス、ウイルス感染、ハッキング、改ざん |
主なアプローチ | ・紙の書類を鍵付きキャビネットに保管する・オフィスの入退室管理・社員教育 など | ・外部からのハッキングを防ぐ・ウイルスの侵入をブロックする・システムの弱点(脆弱性)を塞ぐ など |
情報セキュリティとは、企業が保有するあらゆる情報資産を守るための取り組みです。デジタルデータだけでなく、紙の書類や設備、社員の行動ルールなども対象に含まれます。
一方、サイバーセキュリティは、情報セキュリティの中でも、インターネットやネットワーク空間における脅威への対策に特化した領域です。不正アクセスやマルウェア感染、システムへの侵入といったサイバー攻撃から、デジタル資産を守ることを目的としています。
セキュリティ人材の需要増と深刻な人材不足
万が一、サイバー攻撃によって個人情報や機密データが流出すれば、多額の損害賠償や事業停止につながるだけでなく、企業が長年かけて築いてきた社会的信用を失う可能性があります。
現代のビジネスにおいて、セキュリティ対策は「余裕があれば行う投資」ではなく、「事業を維持するための経営基盤」です。企業のセキュリティ投資は年々拡大しており、それに伴って専門人材への需要も高まり続けています。
しかし、その需要に対して、人材の供給は追いついていません。
総務省の調査によると、2024年時点で約17万人のサイバーセキュリティ人材が不足しています。さらに、「サイバーセキュリティ人材が不足している」と回答した企業は約90%にのぼり、企業規模を問わず、人材の育成・確保や最新の脅威に対応できる体制づくりが大きな課題となっています(*3)。
こうした状況を受け、経済産業省はサイバーセキュリティ人材の育成・確保に向けた取り組みを強化しており、国家資格である「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」の登録人数を、2030年までに5万人(2025年4月時点で約2.4万人)へ拡大する目標を掲げています(*4)。
セキュリティ人材へのニーズは、今後も高い水準で推移するでしょう。IT業界への就職を検討している方にとって、サイバーセキュリティは将来性と社会貢献性の両方を兼ね備えた、注目度の高い分野の一つといえます。
*3 総務省|情報通信に関する現状と動向
*4 経済産業省|サイバーセキュリティ人材の育成促進に向けた検討会最終取りまとめ
IT業界を取り巻く社会環境とセキュリティのニーズ
企業のデジタル化が加速する一方で、サイバー攻撃のリスクも拡大しています。ここでは、サイバーセキュリティ業界の需要を押し上げている、3つの社会背景について解説します。
テレワークの定着とクラウド移行による「境界の消滅」
従来の企業のセキュリティ対策は、「社内は安全」「社外は危険」という考え方を前提に、ネットワークの境界を守る「境界型防御」が主流でした。
しかし、テレワークの普及やクラウドサービスの利用拡大により、社員は場所や時間を問わず、社内システムへアクセスするようになりました。その結果、「社内だけを守ればよい」という考え方は通用しなくなっています。
現在は、社内外を問わずすべてのアクセスを検証する「ゼロトラスト」の考え方が注目されており、新たなセキュリティ対策の導入や運用を担う人材への需要が高まっています。
巧妙化・悪質化するサイバー犯罪のビジネス化
以前のサイバー攻撃は、技術力を誇示することを目的とした個人ハッカーによるものが中心でした。しかし現在は、国際的な犯罪組織が、利益を目的に行うビジネスへと変貌しています。
特に深刻なのが、企業のデータを暗号化し、復旧と引き換えに身代金を要求するランサムウェア(身代金要求型マルウェア)の被害です。2025年の国内におけるランサムウェア被害報告件数は226件にのぼり、大企業だけでなく、中小企業や医療機関、生活インフラ事業者なども標的となっています(*5)。
こうした被害を防ぐためには、技術的な対策に加え、従業員への教育やインシデント発生時に迅速に対応できる体制づくりが欠かせません
*5 警察庁サイバー警察局|令和7年における サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について
サプライチェーン攻撃による中小企業への影響拡大
大企業のセキュリティ対策が強化されたことで、攻撃者は取引先や委託先の企業を経由して侵入を試みるようになっています。この手法は「サプライチェーン攻撃」と呼ばれています。
たとえば、部品メーカーやシステム保守会社、物流会社などの中小企業を侵害し、そこを足がかりに本来の標的である大企業へ侵入するといった手口です。
「情報セキュリティ10大脅威」でも、1位の「ランサムウェアによる被害」に次いで、「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」が2位に選ばれています(*6)。
このような状況から、企業規模にかかわらず、すべての企業がセキュリティ対策の強化を求められており、サイバーセキュリティ人材の重要性はますます高まっています。
*6 IPA 独立行政法人 情報処理推進機構|情報セキュリティ10大脅威 2026
注目の技術トレンド:ゼロトラストと能動的サイバー防御
サイバー攻撃は日々進化しており、セキュリティエンジニアにも常に知識・技術のアップデートが求められます。ここでは、就活生のみなさんにもぜひ知っていただきたい、最先端トレンドを2つ紹介します。
何も信頼しない「ゼロトラスト」
先ほど触れたように、クラウド利用の拡大やリモートワークの普及によって、企業を守る境界線は事実上なくなりつつあります。この境界の消滅に対応するために生まれたのが、「何も信頼しない」ことを前提としてセキュリティを構築するゼロトラスト(Zero Trust)です。
ゼロトラストでは、システムへアクセスするたびに、ユーザー本人であるか、利用端末は安全か、適切な権限を持っているかなどを継続的に確認します。つまり、「一度ログインしたら信頼する」のではなく、「すべてのアクセスを検証する」という考え方です。
一方で、ゼロトラストの導入には、既存システムとの連携の難しさや導入・運用コストの増加、専門人材の不足、利便性とのバランスといった課題もあります。
こうした課題を解決しながら、安全性と業務効率を両立する仕組みを設計・運用することが、セキュリティエンジニアの重要な役割です。ネットワークやクラウドなどの幅広い技術知識に加え、顧客に寄り添った課題解決力や提案力も求められています。
攻撃を検知して被害を防ぐ「能動的サイバー防御」
ゼロトラストが防御を徹底的に固める考え方だとすれば、能動的サイバー防御は「攻撃の兆候をいち早く察知し、被害が発生する前に対処する」という、より積極的なアプローチです。
具体的には、ネットワーク通信やシステムログを常時監視し、不審なアクセスやマルウェア感染の兆候を早期に検知します。異常を発見した際には通信の遮断や端末の隔離などで迅速に対処し、被害の発生を未然に防いだり、万一の際には影響を最小限に抑えます。
2025年5月には「サイバー対処能力強化法及び同整備法(*7)」が公布されました。この法律は、官民連携の強化やサイバー攻撃に関する情報分析、攻撃の無害化措置などを推進し、国全体のサイバー対処能力の向上をめざすものです。
能動的サイバー防御の考え方が普及する中、セキュリティエンジニアには、ログ分析や脅威インテリジェンスを活用しながら、脅威を分析し、迅速な対応につなげる役割が期待されています。
サイバー攻撃が高度化する今後、セキュリティエンジニアは企業の安全を支える重要な存在として、さらに活躍の場を広げていくでしょう。
*7 サイバー安全保障に関する取組(能動的サイバー防御の実現に向けた検討など)|内閣官房ホームページ
セキュリティエンジニアの将来性とキャリア
セキュリティエンジニアに求められる専門性は年々高まっており、人材不足が続くことから、IT職の中でも高い需要と待遇が期待される職種の一つとなっています。
AI時代でも高い需要が見込まれる仕事
生成AIの普及により、「将来的にエンジニアの仕事はAIに代替されるのではないか」と不安を抱く人も少なくありません。しかし、セキュリティエンジニアについては、今後も高い需要が見込まれています。
たしかに、ログ分析や脆弱性の自動検出、インシデントの一次対応など、一部の業務はAIによる自動化が進んでいます。しかし、サイバー攻撃のリスク評価や対策の優先順位付け、インシデント発生時の意思決定などは、人による判断が欠かせません。
セキュリティベンダーであるファイブドライブの脆弱性診断では、自動ツールと合わせて、経験豊富な技術者による手作業の診断を組み合わせることで、より精度の高い診断を行っています。複雑な攻撃シナリオの分析や、ツールでは検知できない脆弱性の発見には、エンジニアがこれまでに培ってきた知見や経験が大きな価値を発揮します。
将来的にはスペシャリストやコンサルタントへ
セキュリティエンジニアは専門性が高く、市場価値を高めながら長期的なキャリアを築きやすい職種です。
技術を極めたい方は、脆弱性診断やペネトレーションテスト、クラウドセキュリティ、インシデントレスポンスなどの分野で経験を積み、高度な技術力を持つスペシャリストをめざせます。サイバーセキュリティ業界では人材不足に加え、高い専門性を持つ人材も不足しているため、専門知識を磨くことでキャリアアップが期待できます。
ビジネスや経営に近い立場で活躍したい方は、セキュリティコンサルタントとして、企業のリスク分析やセキュリティ戦略の立案、改善提案などを担う道もあります。技術とビジネスの両面から価値を発揮できるため、キャリアの幅もさらに広がります。
ファイブドライブでは、セキュリティ診断や調査業務を通じて基礎を身につけた後、プロジェクト管理や顧客対応、後輩育成などへと業務の幅を広げていきます。将来的には、スペシャリストやコンサルタントなど、一人ひとりの志向や強みに応じたキャリアを描きながら、自分らしい成長を実現できる環境です。
まとめ|未経験から専門人材をめざせるファイブドライブ
サイバー攻撃は年々高度化・巧妙化しており、企業規模を問わずセキュリティ対策が欠かせない時代となりました。その一方で、サイバーセキュリティ人材は依然として不足しており、セキュリティエンジニアは将来性の高い職種として注目を集めています。
ファイブドライブは、社員の8割がエンジニアを占めるセキュリティベンダーです。自動ツールだけに頼らない高度な脆弱性診断やペネトレーションテストをはじめ、インシデント対応やセキュリティ教育まで、幅広いサービスを提供しています。
当社では、文系・理系を問わず、未経験からの挑戦を歓迎しています。入社後は基礎研修やOJTを通じて、ITやセキュリティの基礎知識や実務力を段階的に習得できます。技術への探求心が高いエンジニアが多く在籍しており、互いに知識やノウハウを共有しながら成長できる環境です。
日々進化するサイバーセキュリティの世界で学び続けながら、市場価値の高い専門人材をめざしませんか? IT業界やサイバーセキュリティ分野に興味のある方は、ぜひファイブドライブの採用サイトをチェックしてみてください。